「俺、別に未来を見てもらったからって、誰かに言い触らしたりしないよ! ただ、自分の未来を知りたいだけなんだ! 自分がいつ死ぬのか、それだけ教えて欲しいんだよ!」
「だから、それは何度も言うようだけど……」
「お願いだよ、俺がいつ死ぬのか教えて! ねぇ、お願いだから!!」
「……タクちゃん。自分が死ぬなんて、そんなこと簡単に口に出さないで」
だけど、困惑してばかりいる私たちの代わりに返事をしたのはトキさんだった。
トキさんの声に、タクちゃんがハッとしてからベッドの上へと視線を移す。
「言葉には、特別な力があるの。人を傷つけることも、自分を貶めることも簡単にできてしまう。だからこそ私は、不用意な言葉をあなたに使ってほしくない」
トキさんの、諭すような、諌めるような物言いに、タクちゃんの勢いが奪われた。
眉根を寄せ、視線を下に落としてしまったタクちゃんの拳は小さく震えていて、それを見た瞬間、胸が行き場のない切なさに包まれる。
「……でもさ、トキさん。トキさんだって、わかってるだろ。俺にはもう、時間がないってこと」
「それは、最後までどうなるか、わからないでしょう? だって、タクちゃんは今生きている。自分の病室から歩いてここまで来れているじゃない」
「それだって……きっと、すぐに、できなくなるよ」