何か、聞きたいこと。
聞きたいことは、確かにある。
『未来を変えるには、どうすればいいですか?』
だけどそれを、私がトキさんに聞いていいのかわからない。
思わず縋るように雨先輩を見つめれば、雨先輩は真っ直ぐにトキさんへと視線を向けたまま、動かなかった。
その様子に一瞬不安を覚えたけれど、唐突に小さく溜め息を零した雨先輩は、何かを確かめるように、とても静かに口を開いた。
「……ばあちゃん、教えて欲しいんだ。未来を変えるには、どうすればいいのか」
─── やっぱり。
やっぱり、雨先輩は、その答えを聞きにここへ来たんだ。
ドクドクと、早鐘を打つように高鳴り出した心臓。思わず制服の胸の辺りをギュッと掴めば、その手がほんのりと湿っていることに気が付いた。
いつの間にか、口の中がカラカラに乾いている。
どうして、トキさんが未来を変える方法を知っているのか。
もしかして、雨先輩のおばあちゃんであるトキさんにも、未来を見る特別な力があるんだろうか。
再び、ゆっくりと移した視線。
真っ直ぐに雨先輩を見つめているトキさんの顔を眺めていれば、少しの間沈黙を守っていたトキさんは、不意に結んでいた唇を解いて小さく息を吐きだした。