「言っとくけど、同情でこんなことを言っているわけじゃない。本気で、そう思ってるから言ってるんだ」



そう言うと、鋭く私を見る雨先輩。

まさか、雨先輩がこんな風に怒るだなんて思ってもみなかった。

いつも飄々としていて、他人のことには興味がなくて。心の熱さなんてものは持ち合わせていない人なのだと思ってた。

だけど、違った。そうじゃないんだ。

思い返せば雨先輩は、いつでも真っ直ぐな言葉を私にくれていたこと。

ユリの時に、私のお願いに付き合ってくれたのも、私に同情していたからではないんだってこと。


─── 未来を変えたい。


それは、私が今の状況に置かれていなくても、酷く無謀なことのように思える。

だけど雨先輩は、無謀ではないと言う。

無駄なことではないと、怒ってる。

……自分が、未来は変えられないって言ったくせに。

そんなこと、今の雨先輩には口が裂けても言えそうもないけれど。