「無謀だって、思ってくれていいです。無駄なことだって言われてもいい」

「…………」

「でも……私はやっぱり、このまま死ぬのを待つのは嫌だと思ったんです」

「…………」

「だから、何かヒントがあれば教えてください。どんな些細なことでもいいので、思いつく限りのことを私に─── 」



と。そこまで言えば、私を鋭く見る雨先輩の視線と視線がぶつかった。

思わず言葉を止めて、雨先輩を見つめる。

あからさまな怒りを孕んでいる目に戸惑って、つい声の出し方を忘れてしまった。



「……関係ないなんて、言うなよ」

「…………」

「俺、はじめに言ったよな? 俺のせいで混乱させた以上、出来る限りのことをしたいって」



眉根を寄せながら、雨先輩は拳を強く握った。

今日も、屋上には冷たい風が吹いている。頭上の太陽が足元に黒い水溜まりを作って、私たちを試すように見つめていた。



「未来を変えたいと願う気持ちを無謀だなんて……無駄だなんて、絶対に思わない」



今まで一度も聞いたことのない強い口調に、今度こそ返す言葉を失った。

全身から力が抜けて、そのままその場に尻餅をついてしまいそうになる。

……私、雨先輩のこと、やっぱり少し勘違いしていたみたいだ。