「……なんで?」

「ん?」

「どうしてカズくんは、いつもいつも……そんなに、頑張れるの……」



口をついて出た言葉は、自分でも驚くほどに震えていた。

思わず逃げるように視線を下に落とせば、足元を冷たい風が駆け抜ける。



「頑張ったって……未来は、変わらないんだよ……」



それは、自分に向けて言った言葉だったのかもしれない。

約束された未来のあるカズくんではなく、未来を失った自分に向けて言った言葉。



「変わらない未来のために、いっぱい頑張っても、今の自分が辛いだけだよ……」



再び、ゆっくりと顔を上げれば、空を眺めていたはずのカズくんの瞳が、いつの間にか私へと向けられていた。

いつだって真っ直ぐで、迷いのない目。

強く、確固たる意志を宿した、カズくんの目に見つめられ、今度こそこの場から逃げ出してしまいたくなる。