『明日は、もっと遠くに飛ばせるよ。その次の明日は、もっともっと遠くに飛ばせるようになる。だからさ、ミウ、俺と一緒に、』



「……いっぱい、頑張ろう」

「え?」



ぽつり、と。言葉を零せば、カズくんが不思議そうに私を見たのが視界の端に映った。

たった、それだけのこと。

それだけのことなのに無償に泣きたくなって、私は慌てて涙を払うように瞬きを繰り返してから俯いた。



「ミウ……?」



足元で、落ち葉が踊る。

ローファーの靴先でそれを蹴り上げれば、再び鎖が小さく唸った。