それにしたってなにより悲しいのは、誰からもお祝いのメッセージが届いていないことだ。
友達はもともとそんなに多くないからまあいいとして、サユからも、おかーさんからも音沙汰なしなのは、けっこうこたえるよ。まさか忘れられてんのかな。まあ、あたし自身もすっかり忘れていたわけだけどさ。
「食いに来るからな」
あたしがあまりにもさみしいため息をついたのを見てか、おじさんはあきれたように言った。
「そんな落ち込まなくても、友達――サユミとかいったっけ? あの子も、ゆりさんも、もうちょっとしたら来るよ。そもそもあのふたりが言ってきたんだ、祈の誕生日を盛大に祝いたいから協力しろって」
「そう、なの?」
「じゃなきゃ俺がおまえの誕生日を知るはずねえだろ」
たしかに、それはそうだけど。
でも、なんとなく、この男ならあたしの誕生日くらい知っていてもおかしくないような気がしたんだ。
だって時々そういう感じする。見透かされている感じ。正体をすっかり暴かれているような、ヘンな感じ。
「ていうか、べつに落ち込んでないし」
「ふうん。なら、いいけど」
この男はいろいろとあたしのことを知ってるんじゃないかって、なんかたまに思っちゃうよ。あたし自身にすらわからないことも、そりゃもうたくさん、こわいくらい。