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少し遅めの昼食をとったあと、ふたりでよもぎの散歩をして、それから近くのショッピングモールへ向かった。

おじさんの車で出かけるのもずいぶん慣れてきたように思う。最近は当たり前のように助手席に座るようになったあたしに、おじさんはただ「シートベルト締めろよ」と、毎回お決まりのように言うだけだ。



「あ、これかわいいなあ。どう思う?」


雑貨屋さんと家具屋さんをいろいろ見てまわった。これで6軒目。どのお店にもひとつは必ず、いいなって思うものがある。


「いいんじゃねえの」


あたしの手元を見もしないで、おじさんは興味なさそうに言った。

さっきから、あたしがカワイイとかステキとか言うたび、この台詞を繰り返されている気がする。


「いっしょに見て考えてよ」

「おまえの好きなもん買えばいいって言ってるだろ」


そうだけど。そうなんだけど。

でもやっぱりいっしょに選びたいじゃん。ふたりで使うものなんだから。


「それよりそろそろ一服」


わがままなクソジジイめ。あたしがガキなら、おじさんはジジイだ。

煙草なんかいいことないよ。やめちゃえばいいのに。なんのために吸ってるんだろ。いつから吸ってるんだろ。


「クレープ買ってやるから。俺が煙草吸ってるあいだ、食いながらどの皿買うか決めとけよ」


ポケットから煙草を取りだしたおじさんが、ちろちろと、それをこっちに向けて振った。

さっきクレープ屋をじっと見てたの、バレていた。