「――ん……」
いつの間にかすっかり寝こけてしまっていた。
窓から差しこんでいた朝日はもう夕日に変わっている。人間って本気を出せばいくらでも寝ていられるんだなぁと、寝ぼけた頭でバカなことを思う。
「……もう4時か」
普段だったら6時間目の授業を受けている時間。
学校に連絡入れるの、すっかり忘れていた。あのまま寝落ちてしまっていたよ。
急に脇のあたりがぞわりとした。
ズル休みというものをしたのは生まれてはじめてだ。小学校なんて6年間皆勤だったっけね?
高校も、そういえばきのうまでは皆勤だったんだ。去年の冬にインフルエンザで休んじゃったけど、それって公欠でノーカンだし。
そこまで考えて、なんだか自分のしょうもない記録に小さな傷がついてしまったような気がして、おかしな罪悪感がほんの少しだけ芽生える。
それでも、なんだろうね、やっぱりなんか、やってやったぜって気持ちのほうがぜんぜん大きいよ。ついにグレちゃったのかもしれない。あたしもぜんぜん知らないうちに、どこかイカれちゃったのかもしれない。
おかーさんには連絡いっているかな。おたくの娘さん無断欠席ですよって。
怒られるかな。
でもおかーさん、仕事が忙しくて電話なんて出られないか。
「……起きようっと」
身体が痛い。寝すぎるのもよくないんだな、人間。