「――あ、終わっちゃったね……」
夜空を照らす光の祭典はやがて終わった。いつだって終わりはあっけないものだね。
あんなに明るかった空が、一瞬にして嘘みたいに真っ暗になって、いまは白い煙だけがぷかぷか浮いている。むなしい気持ちになった。さみしくて、苦しくて、どうしようもなくなったけど、泣くのとは違う気がした。
「ねえ、和志さん」
白い煙を眺めながら口を開いた。
「あたしと結婚してよ」
おじさんの右手がぴくっと動く。
「……おまえ、頭湧いてんの?」
「本気だよ。マジってやつ」
ちょっと食い気味にあたしが答えると、おじさんは小さく息を吐いた。なに言ってんだこのガキは、とか思われているんだろうな。あたしだったら思うもん。
でもここで引き下がるわけにはいかない。
「結婚して、あたしと家族になってよ。あたしは和志さんと家族になりたい」
「おまえさあ……」
「ほかにもいろいろ考えたんだよ。養子になるとかも考えた。でも、あたしはおかーさんの娘でいたいし、それはダメだなあって。それならおかーさんと和志さんが結婚するのはどうだろうとも思ってはみたんだけど、やっぱり、母親でもほかの女にとられるのは嫌だし、却下かなって」
そうたたみかけると、おじさんは呼吸を整えるように大きく息を吐いた。そして口を開いた。
「あのな、知らねえかもしれねえけど、結婚ってのは好きな男とするもんなんだぞ」
そんなことは百も承知。