なにをどう言えばいいのかわからない。正解がわからない。ゴメンナサイを言いたかったけど、そんな一言で簡単に済ませてはいけない気がした。
「なんでおまえがそんな顔するんだよ?」
おじさんはなんでもないように笑う。乾いた笑いを必死で隠しているみたいだった。
あたしいま、どんな顔をしているんだろ。きっとヒドイ顔に決まってる。どうしておじさんは笑っているんだろ。
よもぎとさくらとおじさんと、それから妹さんと。写真のなかのみんなはきょうもとても幸せそうな顔をしている。とても仲が良かったんだろうなって思う。
おじさんは妹さんのこと、とても大切で、大好きだったんだろうなって。
もうこれ以上は踏みこんではいけない。きっと、いけない。“そこ”はきっとおじさんにとっていちばん重要な、誰にも触ってほしくないところだ。
「似てないんだね、妹さんと」
でも、一歩を踏みださずにいられなかった。もうたくさんだってあきれられても、どんなに嫌がられても、あたしはこの男に近づかずにはいられないんだって思う。
「まあな」
「いくつ離れてるの?」
「8つ」
どんなに逃げたって、どこまででも追いかける。つかまえてみせる。閉ざされてもこじ開ける。
だから、おじさん、そんなふうにさみしそうに笑わないでよ。
「……7年前ってことは」
「妹は17のときに死んでるよ。高校2年、ちょうどいまの祈と同じ年だな」
おじさんはあたしから写真を受け取ると、しばらくぼんやり眺めて、やがてテーブルの上に置いた。