母が眠るのを確認してからそっと病室を出た。
エレベーターが登ってくるのを待っている間にも涙が出てきた。
袖でこすりながら急いで車の中に入った。
車に入るとため息が出て、それを合図の様に涙が洪水みたいに出てきた。
『泣かない家族』
あたし達はどんな辛い結果が待っていようと、
衰弱していく母を見ようと、
色んな病院から断られようと、
この病院は延命をしないと言われようと、
苦しむ母を見ようと、
・・・絶対泣いてはいけない。
いつでも明るく笑顔でいなきゃいけない。
だってあたし達は強いから。
どんな事があっても笑顔でいなきゃならない。
母が諦めてないんだから、
あたし達も絶対諦めない。
車で思い切り泣きながらそう誓った。
あたし達は『泣かない家族』。
・・・違うね、『絶対泣けない家族』なんだ・・・。