「兄ちゃんさ、それでも探してるの?」
「誰も諦めてないからな。何よりあの人が生きる事を諦めてない。だからオレもユウヤも諦めてないよ。お前は諦めたのか?」
「そんなワケないでしょ!」
大声を出すとあたしにくっついてたココロがビックリしている。
「あたしだって諦めてないよ。あの病院から出してあげようよ、北大に戻ろう?そしたらお母さん助かるかも・・・助からなくても、もっともっと生きられるかもしれないよ?だって北大だよ?あんながんセンターなんかより最新の医療で延命出来るよ。北大だってセカンド・オピニオンしてるじゃん、それに賭けようよ」
涙がにじんできたけど袖でこすってあたしは喋り続けた。
「おかしいよ、あの病院。だってお母さん普通に喋れるし笑えるんだよ?それを1ヶ月だなんて・・・。許せないよ、お母さんは死なないよ、助かるし助けるのはあたし達なんだよ?」
「そうだな、ユウヤが必死に色んな病院にかけあってる。断られる度に食いついて必死になってる。効果がなくても丸山ワクチンを打ってくれって言ってる。・・・子供がこんなにしっかりしてるのに父親のオレが泣いて恥ずかしいな」
「恥ずかしくないよ?誰だったそんな事言われて泣かない人いない。それに一緒に住んでるあたしに隠さなきゃいけなくて大変だったでしょ?ごめんね」
そう言うとまた父目から涙が溢れた。
「いやー、一回泣いちゃうとダメだな。情けないな、でも涙が止まらないんだ、何でって思うと涙が止まらない」
父はそれからしばらく泣いてた。