父は黙ってあたしを見たままだった。


「あたしの身体の事心配してるなら大丈夫。何言われても覚悟は出来てるしお母さんの前で動揺もしない。あたしだって家族だよ?お母さんの命の長さを聞く権利はある」


それから黙って父と見つめ合った。


「え?お父さん?」


ジッと見ていた父の目から涙がボロボロとこぼれた。

父が泣いたのは生まれて初めて見た。

父の両親、つまり祖父母が亡くなった時でさえ父は涙一つ見せた事がなかった。


「いや、悪い・・・すまん。ハルにも・・・そうだよな、ハルだって子供なんだから聞く権利はあるよな?身体の事思ったら言えなくて・・・すまなかった」


「そんなに悪いの?もしかして年越し出来ないの?」


出した自分の声が震えているのがわかった。

でも父が泣いたからなのか涙は出なかった。


「・・・1ヶ月か頑張って2ヶ月だ」



え?

1ヶ月?


あたしは3ヶ月くらいかな?と予想してたからその予想より全然早い事に驚きを隠せなかった。