胆管の無事通せた母に父は冗談っぽく言ったらしい。


「管が通せなかったら、あんた危なかったんだよ」と。


そうしたら母はポツリと父に言った。


「ココロがね、夢なのかわからないけどずっと私の足元で寝てたの。『ココロ』って呼んでも黙って私の顔を見るだけでずっと毎日毎日私のそばにいたんだよね」


そして母の胆管の手術が終わるといなくなってしまったらしい。


「じゃあ、ココロがあんたに寿命を分けてくれたんじゃないのか?」


「そうだと思う。ココロが助けてくれたんだよ」


「大事で大好きな「お母さん」だからね」



そのココロはというと、家では寂しいのか帰ってきた誰かにベッタリとくっついている。

母が家に毎日いたから留守番は苦手な犬だ。


毎日真っ暗な中待っているのは可哀想だから朝から電気を点けて出かける事にしていた。


本当にココロが助けたのかはわからないけど、動物にはそういう奇跡的な力があるとかよくテレビで見た事がある。


現在もココロは元気だけど、もしかすると自分の寿命を1年くらいは母にあげたのかもしれない。

ココロは母が一番大好きだから。

自分の「お母さん」なんだから・・・。