後で父から聞いてわかった事だけど、


9月21日、あたしと母が転移を知った日、父だけ説明を受けた時に


「後数日です」


という余命宣告をされたらしい。

原因はやはり肝臓に付着したガンで胆管が潰れている事だった。

そこに管を通せないと母は数日の命だった。


父は兄にだけその事実を伝えて、あたしにはどう伝えればいいかわからずに悩んで夜中にココロの散歩をしながら悩んでいたらしい。

あたしがショックで倒れてしまわないように。

とりあえずはあたしは身体の事があるからあまりショックを起こさせない様にしないといけないと兄と相談したらしい。

ちょうど仕事に追われているからバレなかった。

なるべく普通に変わらずに、父はそれを必死でしていた。

あたしと母には絶対バレちゃいけないから。


なぜおにぎりを作ったのかはよく覚えてないらしい。

何だか父もあたしは急激に痩せていくのに不安があって、ご飯だけはしっかり食べさせないと娘が参ってしまうと思った。

だからおにぎりを作ってたんじゃないかな?と言った。


ガンが肝臓や肺に転移すると生存率がグッと下がってしまう。

それに母のお腹全体に広がって浮遊するガン細胞は他の臓器にも付着する可能性は充分にある。

これが他の臓器にまで付着すると免疫も体力もない母には致命的になってしまう。

浮遊しているガンこそ怖い存在だった。