「あ、ハル。お父さん帰っちゃたから同意書にサインしてくれる?」


テーブルの上の紙を見ると細胞検査の同意書だった。

一応目を通してからサインをした。


「妹が怒るんだよ、『何で妹なのにサイン出来ないんだ』って」


「そりゃ家族じゃないからね。あたし達3人しか出来ないから」


あたしは笑いながら同意書をテーブルの脇に置いた。


手帳を戻しながら母はあたしを見て怪訝な顔をした。


「ハルすごく痩せた?」


「え?あぁ、そうみたいだね。最近服が大きくて着るものなくて大変だよ。やっと薬が落ちてきたのかな?」


「高校生の頃まで痩せなくてもいいよね。ガリガリだったから。今くらいがちょうどいいんじゃない?」


入院してた頃より12キロあたしは痩せていた。


「そうだねー、あんまりガリガリもみっともないけど。高校の頃の体重が普通だったから別に構わないけど。何にしろ痩せたってのはいい事だよ」


「○○さんも痩せたと思うの、急に」母は心配そうに父の痩せた事を言った。

確かに父は急激に痩せたと思う。


「ろくな食生活してないんで。早く帰って来てくれなきゃあたし達餓死しちゃうよ」


あたしが笑うと母も笑った。