(これ・・・・何?)


CTの写真を見てあたしも母も絶句してしまった。


腹部のCTだろうけど、黒い点々が全体に広がっている。


特に集中している所をペンで差しながら「ここは肝臓です」と言われた。


紙を見ながらどんどん数値の話をし出すから「ちょっと待って下さい」とあたしは手帳とペンを手にして「大丈夫です。お願いします」と言った。


何の数値の話をしているかよくわからないけど、ひたすらメモを取った。

どんな数値でも通常の人の何千倍とあるようだった。


母をチラッと見るとCTを見ながら青ざめて絶句したままだった。


一通り数値の説明を聞いてメモをし終わってから母の手を握った。

微かに震えていた。ギュッと力を込めて握りながらあたしは聞いた。



「この黒い点々はガンですか?」


医者はあたしと母を交互に見てから頷いた。


「これは転移したって事ですか?」


「そうですね」


目眩がしそうになった。


ガン細胞はお腹全体に広がっていて特に肝臓へビッシリとくっついている。

肝臓への転移とみてよさそうだった。


母の腹痛はこの全体に広がったガン細胞のせいだった。


肝臓に転移してるのだから黄疸が出てもいいはずだけど、抗がん剤でどす黒くなった肌からはわからなかった。


抗がん剤をしていなかったら黄疸ですぐにわかったはずなのに・・・。


そもそも抗がん剤治療をしているのに何で9ヶ月で『転移』するんだろう?

何の為の抗がん剤だったの?


頭の中には疑問がいっぱいだった。