あたしがすぐ辞める事になる仕事に追われている頃。


母の腹痛はどんどん酷くなっていった。


お腹を抑えて「いたたた」と言ってる姿を何度も目にしている。


「ちょっとおかしいんじゃない?病院には言ったの?」


あたしが聞くと頷いて


「言ったよ。でも抗がん剤はキツイ薬だからそれで胃潰瘍になってるかもしれないから近くの内科で胃薬処方してもらってって言われた」


そして本当に近くの内科でもらった薬を出した。


「え?何でがんセンターは診てくれないの?おかしくない?こんなに痛がってるのに近くの内科って」


「だって病院がそう言うんだもん。胃潰瘍なんだよ多分」


海藻で出来ているというドロドロの飲み薬を「オエ」っと言いながら無理矢理飲んでいる。


「それ何?そんな気持ち悪いもので胃が痛いの治るの?」


「何か粘膜を守ってくれるらしいけど、これ飲むの辛くて吐きそうになるんだよ」


「ふーん。あたしが試しに飲んでみようか?」


カップに分量を入れて飲んでみた。あたしは漢方やら飲みにくい薬を飲んでいるから別に吐きそうにもならずにあっさり飲めた。


「よく飲めるね、信じられない」

母はビックリしながらあたしを見ていた。