6月を過ぎるとせっかく色白に戻った母の肌はやっぱりどす黒くなっていった。
日焼けしたように色黒になり自分の腕を見てはため息をついていた。
爪も黒いまま。
そして口内炎が出来た。
「がんセンターの暗い雰囲気が嫌だ」
いつもそう言っていた。
「病院、北大に戻ったら?」
「でも、先生がここにいるから・・・仕方ないね。みんなガン患者だから気兼ねしないしさ」
「まぁね、ガンだから帽子脱いでも恥ずかしくないもんね」
あたしは結構楽観的に考えていた。
手術してある程度ガンは取り除いているし。
2年以内に50%の再発だってまだまだ先の話。
再発なんてしないで「完治」って可能性が5割もある。
その為に抗がん剤を服用してるんだから問題はないはずだ。
副作用は多少あっても、母は家事をしてココロの散歩をしている。
だから大丈夫だ。
あたしも、母も、家族もそう思っていた。