5月3日。

近くのお寿司屋さんで遅くなった父と母の還暦のお祝いをした。

コース料理を食べながら終始みんな笑顔だった。


服用する抗がん剤治療は始まっていたけど、点滴に比べると身体は随分と楽そうに見えた。

どす黒くなっていた母の肌も本来の色白に戻っていたし、まだ帽子は外せないけど髪の毛も伸びてきている。


半年に渡る点滴の抗がん剤治療ですっかり痩せてしまった母だったけど、この日は珍しく少しお酒を飲んでいた。


「せっかくだから」


父と母が並んで座っているいる写真を撮った。


写真が苦手な母にしてはすごく穏やかな笑顔で写っていた。


「おー、珍しく写真写りいいじゃん」


デジカメを確認しながらあたしが言うと、


「そう?」


と少し照れたような笑顔を見せた。


ウチの両親はあっさりしてるのか照れているのか、2人で写真を撮ると微妙な距離が出来る。

兄の結婚式の時の写真もそうだった。

寄り添うって感じではなく並んで撮りましたって感じ。


この写真もやっぱり寄り添ってはいなかった。

あたしが撮った母の最期の写真になるとは知らずに笑っていた。