お祝いは5月にする事にして、誕生日の日は結構普通のご飯だった気がする。


父が帰ってきて「○○さん、お花ありがとう」と言っていた。


父はただ笑っていた。


照れ屋は父に似たのかもしれない。

父を見ながらそう思った。


3月23日は愛犬のココロの誕生日だった。

母はココロを自分の息子の様に可愛がっていたから、誕生日になると自分の誕生日と一緒に祝っていた。

ケーキを買ってくるのはいつもあたしでプレートには

『お母さん、ココロ君誕生日おめでとう』

と書いてもらっていた。

ケーキ屋もまさか犬だとは思ってないだろうし孫か何かだと思ってると思う。



「お母さんが60歳でココロは8歳。ココロも歳を取ったけど、お母さんと一緒に頑張ろうね」


ココロの頭を撫でながら言っていた。


そしていつもこれも言っていた。


「お母さんがココロを看取るけど、お母さんが死んだらココロも一緒のお墓に入ろうね」


これは納骨堂ではなく、墓に入りたいという意味だ。

父は次男だから先祖と一緒の墓には縁がない。