ねぇ、お母さん。


この時のあたしは自分の病気が怖くて周りを見る余裕すらなかった。


お母さんが辛い身体で家事をしているのにそれさえもしてあげなかった。

全然余裕がなかった。


こんなに時間がなかったんならもっと色々してあげればよかったね。



お母さんが自分よりあたしの病気を心配して、とにかく遠い親戚でも心臓が悪い人を必死で探してたなんて知らなかった。


遺伝性があれば薬が変わる。


心臓の薬が使えるかもしれない。


でも、結局あたしは後天性で心臓の薬は使えなかった。



あたしは本当に自分の病気が怖かった。


健康な人を恨んだりする事も沢山あったし、

何であたしがってそれは今でも思うけど、

とにかくあたしは怖かったんだ。


お母さんがガン患者だって忘れてしまうくらい、


あたしは病気に飲まれてしまっていた。