その日の夕食もいつも通りに2人で食べた。
母はいつもと特に変わらなくパクパクとご飯を食べている。
「あのさ、病名聞いた・・・よね?」
逆に全く食欲がないあたしが恐る恐る聞いてみた。
「うん。聞いたよ。『はい?』って聞き返したけど、何の病気がよくわからなかったね」
「でも、治らないんだって。死ぬかも・・・しれない」
「そうだね。お母さんだって2年以内に死ぬかもしれないでしょ。一緒だよ」
「あたしこの若さでわけわかんない病気ってどうなんだろう」
箸を止めてお母さんがあたしをジッと見た。
「ハル、お母さんはさ、自分がガンになったのもハルの病気も天命だと思うよ。受け入れるしかない、だってなっちゃったんだもん。健康な子に育てられなかった責任は感じてるけど天命だと思って受け入れるしかないね」
「そんなあっさりと・・・、あたし結構悩んでるだけど」
「足掻いても何しても変わらないんだからしょうがないじゃん、気にしないで先生の言う通りに行動すればいいんじゃない?薬落としたら痩せるってさ、よかったじゃない。アンタちょっと太り過ぎだから」
薬のせいかわからなかったけど、あたしの体重は本来よりずっと多くてどうダイエットすればいいのかわからなかった。
でも、原因は間違って飲んでいた鬱病の薬にあるらしい。薬を落とせば自然と体重も10キロ以上は落ちるらしい。
「痩せるのは嬉しいけど、これから仕事とか出来るのかな?」
「出来るでしょ。タダ飯食わすほどウチは裕福じゃないからしっかり働きなさいよ。しばらくは無理だろうからそこは大目に見るけどね」
「もっと娘の病気深刻に考えれば?」
「考えても結果は同じ。お母さんのガンだって考えて治るなら考えるけど治らないのが現実。アンタも受け入れなさい」
あっさりしているのはいいと思うけど、もう少し危機感持てないのかな?
疑問に思いながら仕方なくご飯を食べる事にした。