「ハルはね、本当は優しい子なの。お母さんの病室の人にも、ハルの病室のおばあちゃん達にも言われたの『娘さん明るくていい子だね』って。ハルは口が悪かったり照れ屋だからぶっきらぼうなところはあるけど、本当は繊細で優しいし明るいの。その場をパっと明るく出来る子だから」


「はぁ・・・」


あたしが間抜けな返事をしても箸を持ったまま母は嬉しそうにしている。


「あの男と付き合ってからハルはハルじゃなかったの。いいところが全部消えちゃった。自殺するような子じゃないし、強いからはね除ける力があるのにそれも出来ない。どうして何だろうって悲しかったけど、入院したハルは昔のハル。元に戻ってお母さん嬉しいんだ」


「よくわかんないけど、そういえば何か悲観的じゃなくなった様な・・・」


薬が変わってから、あの地の底にいるような重いような気分や絶望的に悲観する事はない。

夜も眠れるし朝もしっかり起きれている。


「自分じゃわからないでしょ?ハルはお母さんにもお父さんにも優しいよ?お父さん1人にしてる事心配してるじゃない、前のハルだったら『彼氏』ってばっかりで他の人に目を向ける余裕なかったもん」


「そう?」


「そうだよ。よかったよ、もう昔のハルには戻らないかもって覚悟してたから本当によかった」


母は何度も頷きながら笑顔だった。