ホルモン治療が出来ない事でガッカリしたけど、母は涼しい顔をしていた。
「ハル、先生に頼んであるけどアンタも乳ガン検診ちゃんと受けなさい。子宮ガンも子宮頸ガンのワクチンもお金出すから打ちなさいよ」
「えー、面倒だからいいよ。乳ガン検診っても超音波でしょ?」
「いや、マンモで申し込んでるから。子宮頸ガンのワクチンは今の状態じゃ原因不明だから打てないらしいけど、退院したら打ってよね?お母さんが乳ガンなんだから娘のアンタがなる可能性は高いんだから」
「子宮頸ガンって高いじゃん、いいよ」
子宮頸ガンのワクチンはまだ成人には認可されてないから3回打つけど確か合計で5万以上はすると聞いていた。
「お父さんと相談して決めたの。少しの可能性も娘には残したくないから。予防出来るものは全て予防したいのよ、親としては」
面倒くさいなぁとあたしは思っていたけど、親なんだから『遺伝』を怖がるのは普通かもしれない。
あたしの検査のカリキュラムの中には婦人科全部の検査を既に入っている様だ。
(まぁどうせ全部調べるんだからいいや)
あたしは「わかったよ」と頷いた。