みんなが段々と寝静まる中、何日も寝てないあたしと兄に叔父と叔母が「お前達少し寝ろ」と言った。


でもあたし達の分の布団はないから「別にいい」と断った。

お腹の大きい兄嫁は家に帰っていてココロも預かってもらっている。


「線香番はオレ達でしてやるから。何日も寝てないだろ?特にハルはちゃんと寝ないと病気に響くから」


そう言われて座布団でも並べて寝ようかと2人で話をしていたけど、座布団は言い出しっぺの叔父や叔母が使って寝てしまった。


「結局こうなんだよ」


2人で呆れて「飲もうか」と言って焼酎を飲んだ。


誰かかれかちょこちょこと起きてきてとても寝れる環境じゃなかった。


いつの間にかいなくなった兄を探す理由もなくて喫煙室に向かった。


斎場に入るまでに大きな階段があるけど、そこに兄の後ろ姿が見えた。


声を掛けようとしたけど、兄の肩が震えていた。

臨終の時も兄は泣いてなかった。

多分、兄は誰もいないから泣いているんだと思う。


一生懸命母の命を繋ごうと努力したんだからそれが出来なかった事を絶対後悔してると思ってるはずだ。


あたしは足音を立てないように喫煙室に向かった。