親戚にも母の最期を説明して挨拶をしていると「ハル飲みなさい」とビールが注がれた。


今の棺が釘止めはしないで着物の様な布で両端をパチンと止めるらしかった。


その布の裏には母への最期の言葉を寄せ書きしてもらった。

真ん中にはあたし達家族が書けるスペースを残してもらって、色んな人が母への言葉を書いてくれた。


あたし達家族は何を書いたか覚えていない。


あたしは思い出したように便箋と封筒を出してみんなに聞こえるように言った。


「お母さんに手紙を書きたい人はここに便箋を置いておくので書いて下さい」


叔父が書いていた様な気がした。


あたしと兄も書いた。


あたしは母に何を書いたか記憶にないけど、親孝行を出来ない事をひたすらごめんと書いた気がした。


兄は「なかなか進まない」とおどけて言っていた。


出棺前に手紙は入れる事になっていて兄が何時間もかけて書いた手紙を預かった。


出棺前に兄嫁に「これ出棺の時に入れて」と兄の手紙を預けたけど、兄嫁は入れるのを忘れて、今も仏壇の中に封をしたままはいっている。