お通夜はあっという間に進んで、始まる前に父の会社の人と挨拶をしていたら、母の高校の同級生やら色んな人に捕まって始まるギリギリまで入り口から動けなかった。


喪主の父は忙しく、兄は親戚の対応をしていて全員バラバラで誰がどこにいるのかすらわからなかった。


そろそろ座らなきゃと思うと「ハルちゃん」と誰かが呼んで足止めをくう。


あたしは一番最後に席に座った。


色とりどりの花に囲まれた母は照れ笑いをしていた。


木製の位牌には冒頭に書いた


『白蘭信澄大姉師位』


という新しい母の名前が書いていた。


2010年11月26日、母の通夜が始まった。


臨終確認されてから泣いてないし寝てないあたしは通夜の最中ボロボロと涙が出て、みんなが焼香して挨拶をして行く中、友達が優しく肩を叩いたので我慢出来なくてみっともないくらい涙を流した。


挨拶は司会の人にまかせて、出棺する時に父が挨拶する事になっていた。


通夜はすぐに終わり、親族控え室に戻って黒いラフな服に着替えた。