1時間後兄夫婦が着いた。

兄嫁は入ってくるなり泣きながら「お母さんごめんね、間に合わなくごめん」と言った。


兄も何か言ったと思うけど覚えていない。


あたしは兄達に場所を代わって突っ立ていた。


父が「ハル、こっちの手を握ってやれ」と席を立った。


「お母さんは起きたのか?」


涙ぐみながら父は言った。


「お母さん寝てて、何かおかしいなって思って・・・そしたら息してなくて・・・呼んだら息一回だけして・・・」


「わかった。もういいから手を握ってやれ。子供達に握られた方がこの人も嬉しいから」


父が握っていた手も温かかったのにあたしが握るとどんどん冷たくなっていく。


緩和ケアの女医さんが来て


「確認しますのでご家族以外は外に出て下さい」


と言ってあたし、父、兄夫婦以外は外に出された。