兄に伝えるとあたしと同じ反応で「何で?何が?」と言った。

感情的になりやすいあたしと比べて兄は淡々としている人だ。

あたしの性格は父に似て、兄は母に似ている。

物事を黙って分析してから発言するタイプだと思う。


「知らないよ!本人に聞けばいいじゃん!あたしはショックもあるけど、娘なのに先に言われなかったのが悲しいよ、友達より後回しってどういう事!?」


感情的に怒るあたしに「まぁまぁ」と兄は言った。


「とりあえず実家の電話にかけて聞いてそっちに行くわ」


兄はそう言って電話を切った。

間もなく1階の居間にある電話の音が鳴った。

母の声が少し聞こえて、それから中2階がある我が家での母の部屋へ上がって行った様だった。

2階はあたしと父の部屋があり、中2階は母の部屋だった。

ミニチュアダックスの愛犬はこの3部屋を寝る前や誰かが早起きをしたらまだ寝たいからウロウロする。


あたしは部屋でタバコに火をつけてため息と煙を一緒に吐いた。


涙はおさまったけど、「何で、ウチの親が」という疑問はグルグルしていて頭痛がしてきて鎮痛剤を飲んだ。

あたしは泣くと頭痛が酷くなるから。


いい歳をして不貞腐れて泣いて部屋に閉じこもるのもどうかと思って、タバコと携帯を持って居間へ戻る事にした。


居間に戻ると父がテレビを見ながらお酒を飲んでいて、母は兄に説明している様だった。


「全然食ってないだろ?ちゃんと食え」


父はそう言ってテレビにまた目を向けた。