肝臓ガン特有の脳が腫れてる影響かモルヒネの影響かわからないけど、母は老人の様によくわからない事をポツリと喋っていた。
「え?何?」と聞き返すと伝わらない苛立ちで怒ったりする。
母に見える所に座ってまた鼻歌を歌いながら千羽鶴を折っていた。
「ハル」
「何?どうした?」
「これなんだっけ?」
自分の腕についているパワーストーンの数珠を指差した。
「それは早く元気に鳴ります様にってあたしが買ってきたじゃん。オーダーメイドよ?喜んでたでしょ、忘れた?」
母の手首についてるその数珠はあたしがよく行くパワーストーンのお店で末期の肝臓ガンの人が良くなる数珠を作って下さいとお願いして作ったものだ。1万以上したと思う。
ただの気休めだろうけど、それでもそんなものにすがりたい位にあたし達は必死だったから。
「あー、そうだった。みんながお母さんに買ってくれたんだよね?キレイだねー。高そうだねー」
「高いよ。でもそれだけ強い力があるんじゃない?元気になるから大丈夫。少し寝たら?」
寝たらと聞くと首を振った。