メモをバッグに入れて病室を出た。
涙が出たのは「泣かない家族だから」と言われて以来だ。
『みんなに支えられて生きていきたい』
これは母の願い。
あたしだって、父や兄だって支えるから生きてほしい。
今月もたないなんてウソであってほしい。
この病院はガン患者しかいない。
母の様に苦しんでる人がいっぱいいるから泣いてはいけない。
急いで病院を出て車に乗り込む。
あたしの泣き場所はいつも車の中。
(泣いたらダメだ)
そう思ってタバコに火をつけたけど、涙はボロボロ流れてくる。
「お母さん・・・」
母を呼びながらあたしは号泣した。