別室に呼ばれて看護士と向かえ合った。
眼鏡をかけた優しそうな可愛い人だった。
そういえばこの人はいつも母に優しくしてくれてたな、と思い出した。
「何でしょうか」
あたしが言うと「娘さんの気持ち、わかってるつもりだから」と言われた。
「前に打診したけどお父さんもお兄さんもお母さんの命が短くなるって言って断られたけど、娘さんならどうするか聞きたい」
「何を?」
「お母さん、もう一度家に帰してあげたいと思わない?」
「え?」
「リスクがあるのはわかってるよ?でも、もう・・・だからこそお母さんを家に帰してあげようよ。これから先の事も考えてさ」
母を家に帰す?
そんな事考えてもいなかった。