「先生に言いたかった事があります」


あたしが言うと「何でしょうか」と医者はあたしに向き合った。


「あたしは病気があります。QT延長症候群です。今、北大で治療をしています。循環器の先生も精神科の先生も○○先生、あなたは腕がいいから母は大丈夫と言われてきました。」


あたしが北大の患者だと聞いて医者の顔色が変わった。


「あたしもそれを信じていました。母は先生に診てもらえてラッキーなのかもとさえ思っていました。でも、どうして母は死ななきゃならないのですか?みんなが先生なら大丈夫って言ったのに母は死ぬんですか?」



「・・・それは転移したガンの種類が・・・」


その言葉を遮ってあたしは喋り始めた。



「服用の抗がん剤のタキソールは何の意味もなかった。ただ母を衰弱させただけだった。効果がないのならどうして変えてくれなかったんですか?母が腹痛を訴えてもこの病院は胃潰瘍だと言って近くの内科で薬をもらえと言いました。腹痛を訴えた時にCTやMRを撮ってくれていたらもっと違ったんじゃないですか?免疫療法もセカンド・オピニオンも出来たんじゃないですか?腹痛を訴えた時、内科に行けと指示したのは先生ですよね?どうしてですか?」


医者は黙っていた。

兄に「ハル、お前もう黙れ」と言われた様な気がする。



「それはこちらのスタッフの判断ミスです。申し訳ありません」


医者が苦虫を噛む様な顔で言った。