「ちょっとソファーに座ってみたい」
母が言って兄と父が毛布を掴んで母をソファーに横にならせた。
「あぁ、ここならみんなの顔見える。ベッドじゃつまんない」
そんな体勢で苦しくないのかな?と思ったけど「大丈夫」と言った。
出来上がったサバの味噌煮を口に入れて「やれば出来るじゃない」と言った。
3口くらいしか食べれないけど「美味しい」と言ってくれた。
「ユウヤ、前髪だけが少し残って変だから切って」
抜け落ちた髪の毛の前髪だけが残ったのが気に入らないみたいで、器用な兄にお願いしている。
兄はハサミで器用に短く前髪を切った。
「気になってたの。よかった、スッキリした」
前髪を確認してから帽子を被った。
この日の母は饒舌で楽しそうで、そして練習と言って身体を少し起こしてみたり上機嫌だった。