「少し寝たら?」
父が母に言ったけど母は首を振った。
「せっかく帰ってきたのにもったいない」
ベッドに乗っちゃダメだと言ってるのにココロは母の足元で丸くなって寝ている。
「いいの、いいの。ココロと寝るの久し振りだから」
ココロを見ながらニコリと笑っている。
サバの味噌煮の味見をして(こんな味だったかも)と思っているあたしに「ハル!ちょっと」とまた母が呼ぶ。
「はいはい、何でしょうか?まだサバは出来てませんけど」
「さっきのスープの事なんだけど・・・」
「は?まだ言うか。もういいじゃん、不味かったって事で」
「ハイミーだよ」
「ハイミー?調味料のハイミーの事?」
「ハイミー入れてないから味がしまらないんだよ、入れてみなさい」
あたしが入れる前に兄が適当にハイミーを振りかけている。
「お、この味じゃん」
足りなかったのはハイミーだったのか・・・。