「うーん、何が足りないのかな?」
スープを少し飲んでから考えている。
「一応言うけど、病人だから薄味にしてるから」
「そうじゃないの・・・何かが足りないから味にしまりがない」
せっかく作ったのにうるさいなぁと苦笑いしか出ない。
「母さんこっち食べれば?」
あたしと違って料理上手な兄が昨日実家で作ったシチューを出した。
「ちょっと!自分が料理得意だからってそういうの反則じゃない?」
あたしが文句を言うと兄は笑って
「お前の料理は不味いんだと。しょうがないじゃん」
と澄まして母にシチューを出した。
「そうする。ユウヤの食べる」
撃沈したあたしはサバの味噌煮と格闘する事にした。
「ユウヤ!味が濃すぎ!身体に悪い!!」
その声を聞いてあたしは台所で笑いが止まらなくなった。