兄の家にはココロの奥さんと子供がいる。


だから今日はミニチュアダックスが3匹ウロウロしている。


そんな中、介護タクシーが家の前に止まってストレッチャーを入れようと悪戦苦闘してたけど、ウチの玄関には入れなかった。

特別狭いワケじゃない玄関だけど、ストレッチャーは大きくて、結局毛布でくるむ様に介護士が母を和室に置いたベッドまで運んだ。


「あー、家だぁ。久々だね」


ベッドに横になると母は嬉しそうに声を出した。


その周りを犬が我れ先にと群がっている。


あたしはココロを抱き上げると母の顔の近くに置いた。


その間、兄は酸素ボンベを確認中。


母がいられるのは午後5時まで。

ほんの数時間。


「ココロ!!」


母は涙をにじませながらココロの頭を撫でた。

ココロの何だか寂しそうにクンクン泣いて母の顔を舐めようとする。

免疫力のない母の顔を舐めさせるワケにはいかない。

その前に母は舐められるのが嫌いだけど。


他の犬も鳴きながら尻尾を振っていた。

悪いけど、母が会いたいのはココロ。少しだけ久々の再会をさせてあげたかったからほっておいた。