頭の後ろで腕を組み、重々しく溜息をつく。

15年後の世界もじょじょに慣れてきちまったしな。

新鮮味を感じなくなった。
人間の適応能力がいかんなく発揮されたって感じ。


これが日常の一部になってもおかしくない。 
 

おかしかったことが当たり前になっていく、この不思議が怖かったりするんだ。

俺はこの時代の人間じゃないんだ。当たり前になっちゃいけないんだと思う。

難しいことは深く考え込まないようにしてるけど。


「今日、昼飯…、外で食おうかな」

 
先にコンビニで昼飯を買って、どっか食えそうな場所で食おう。

じゃないと、俺の憂鬱度はMAXに達する。

これも家の中に引き篭もっているせいだよな。
外の空気を吸って気晴らしをしないと…、落ち込んでたら、まぁたあいつに心配掛けるし。 


ブンブンとかぶりを振って、俺は目的地をスーパーからコンビニに変更。


早足で大通り沿いのコンビニに向かうと、そこで大好きなあんぱんと牛乳を買うことにした。

それだけじゃ足りないから、他にもパンを購入しよう。

2011年のコンビニって1996年のコンビニと違って品揃えが超豊富なんだよな。
どれも美味いし。


ちょっと値を張るパンを買っちまったのはご愛嬌にしてもらおう。
ごめん、秋本。その分、家事で稼ぐからさ。


コンビニを出た俺は、近所をグルッと散歩した後、よく友達と遊んでいた公園に赴くことにした。
 

俺の行きつけの公園でもあったんだ。

ブランコや滑り台は勿論、わりと面白いアスレチックが備え付けてあったし(だけど今は遊具が減っている。秋本曰く子供に危ない遊具は使わせるな、らしい。なんだそりゃ)、なによりグランドがあった。


そのグランドで友達とサッカーするってのが俺の定番だったりしたんだけど。


公園に入ると、がらんと寂れた光景が満目一杯に広がった。

時間帯が時間帯かもしれないけど、アスレチックが減った分、寂れた感が否めない。

誰もいないしさ。
あ、嘘、若いリーマンが向こうのベンチで珈琲を飲んでる。


けどそれだけ、他には誰もいない。