そういえば兄貴はいつも、俺のことを気に掛けてくれていたっけ。
どんなにパシリに使おうが、顎で使おうが、嫌味を飛ばしてくれようが、何だかんだで俺の相談相手になってくれていた。
遠藤曰く、本当に心配してくれていたみたいだから…、嗚呼、兄貴は弟が失踪したことをどう受け取っただろう。
きっと傷付いたに違いない。
俺が兄貴の立ち場だったら、絶対に傷付いていた。
当たり前のようにいた兄弟がいなくなっちまったら、絶対に寂しいって。
喉の奥が引き攣る。
どうにか振り払って代物を仕舞い、引き出しに菓子箱を戻す。
三番目の引き出しを開けた。
この引き出しにはプリント類が詰め込まれている大きな引き出しなんだけど、やけに重いな。こんなに重かったっけ。
腕に力を込めて、引き出しを開ける。
ああ、重いはずだ。
だってこの引き出しにはプリント類ではなく、ファイルが詰め込まれているんだから。
プリント類は捨てられたのかな?
首を捻りながら、ファイルを取り出す。
中を開いてこれはファイルじゃなく、アルバムなんだって気付いた。
ページを捲る、多分俺らしき赤ん坊が写っていた。
ちっちぇ兄貴が隣でピースしてるんだ。きっと俺だ。
ページを捲る、幼稚園の頃の俺が写っていた。
泥団子を作ってるのか、手が泥だらけだ。
ページを捲る、小学生の俺が写っている。
これは花火大会の写真だな。戦隊モノのお面を頭にかぶってらぁ。
ページを捲る、ページを捲る、ページを捲る。
そこには沢山の俺が写っていた。
何処のページを捲っても俺ばっか。
そりゃそうか、俺のアルバムなんだから。