特に中学の私は思春期真っ只中。
ドラマみたいな恋愛がしたくてしょうがないマセガキだったから、あんたに告られてもアリエナイの一言で済ませちゃってたわけ。
だけどあんたはめげずに告白してくる。
好きの一点張りで押してくる。しかも毎日。
嫌気が差さなかったといえば嘘になるけど…、なんとなく悪い気はしなかった。
やっぱり好かれてるって好意は悪い気しないものなのよ。
ただタイプじゃないって思ってただけで、悪い気はちっともしなかった。
でもね、ある日気持ちに変化が表れてきたの。
あんたが真っ直ぐに好きって言ってくれる度に、ちょっと胸が熱くなってきて。
変に意識するようになってきて。
あんたばっか目を追うようになってきて。
自分の気持ちに疎いほどの馬鹿でもないから、私、すぐ気付いたの。
やば、私、あいつのこと好きになりかけてる? って。
自覚した途端、なんだか悔しくなってあんたにとことん冷たくした。
あんたなんか好きになって堪るもんですかって思ったのよ。
冷たくしても変わらない笑みを浮かべて、好きって言ってくるあんたの余裕さがムカついて、自己暗示をかけるようになったわ。
私はあんたのことが嫌いって。
少しだけ反省もしていたわ。
あからさま冷たくしなくても良かったのに…、何してるんだろうって。
ちっとも素直になれなかった矢先、他の人に告白された。
正直あんたよりもカッコイイ、性格的にも女子に人気のある奴だった。
純粋に嬉しかったし、あんたより良い男に巡り会えてこれはチャンスだって思ったわ。
返事は一週間後に出すって言ったけど、付き合う気満々だった。
好きばっかりほざくあんたを忘れる良い機会になると思ったの。
だけど運命の月曜、あんたは登校して来なかった。
単なる風邪かと思ったら行方不明だって教えてもらって…、心臓を鷲掴みにされた気分に陥った。
すぐに見つかるって囁かれていたのに、いつしかあんたはマスコミに騒がれている時の人になっていた。