「肩を持ってくれたのは嬉しいけどさ。徹也は僕より、久野達の方が性に合ってるよ。スポーツしてる方が君、活き活きしてるし」
「うーっせぇ。性に合うもクソもあるか。運動できるできないで人なんか選ぶかっつーの。ウダウダ言ってるとぶっ飛ばすぞ」
容赦ない拳骨を永戸に食らわせる島津は、俺のことより自分の事を心配しろと鼻を鳴らした。
明日も体育があるだろ、言われて永戸は何か思い詰めたように小さく頷く。
その面持ちに俺が気付くくらいなんだから、島津も当然気付いて「どうした?」と声を掛けていた。
なんでもないと愛想笑いを作る永戸は、それよりもっと話題を切り換える。
「徹也と坂本はどういう関係? 塾仲間?」
「んにゃ、偶然公園で会った奴。こいつな、実はゆッ、イッデェ!」
永戸はハテナ、と頭上にクエッションマークを浮かべる。
痛みに身悶えている島津は横目で俺を睨んできたけど、ニッコリ微笑む俺は爪先で相手の脛をもう一度蹴った。
お前、絶対に言うなよ。
事故で永戸にばれるならまだしも、面白半分に紹介されちゃ俺も困るんだからな。
目で訴えれば、分かったよとばかりに鼻を鳴らして「俺等と同い年だって」遙かに俺達よりかはジジイだけどな、意味深に紹介。
ますます首を傾げる永戸、一方で俺はジジイ扱いされたことに握り拳を作る。
ごめん、秋本、遠藤、アラサー扱い(という名のジジババ扱い)は超腹が立つな。
自分の身の上に降りかかってスッゲェ分かった、この言いようのない苛立ち。少しアラサー扱いを自重するよ。マジごめん。
こうして永戸を交えた俺は島津と三人で神社のご神木下で談笑開始。
話して分かったことは多々。
島津と永戸は同じクラスの同校生。なんと俺の通う学校に行ってるんだって。
ということは、俺の後輩に当たるわけだ。
不思議な縁だよな、自分の後輩と巡り会うなんて。
ウッカリ同じ学校に通ってるんだって口を滑らしちまったもんだから、「そうなの?」永戸は何組だと聞かれてしまう。
その隣では馬鹿だろお前って眼を島津に向けられちまった。はい、本当に馬鹿ですね。俺もつくづく自己嫌悪してしまいます。