「15年っ、お前がいなくて、まじさ…さみしかった。
一緒に卒業したかったっ…、一緒の高校行こうっつったし…、成人式だって一緒にっ…、行こうって。
お前に結婚式っ、祝ってもらいたかった…。離婚しちまったけど、でも…、お前に誰よりも。ごめん、坂本…、ごめん」


「遠藤、もういい…いいから」
 

「幽霊でもいいっ…、15のお前だろうと構わないっ…、俺はずっと、お前に謝りたかった。こうして面と向かってっ…、なかなおり、したかったんだ…、さかもと」


うん、うん、俺は頷いて嗚咽を漏らす。

遠藤も声にならない声を漏らし俺を抱擁して、今度こそ忙しなく肩を上下に動かした。抱擁を返して、俺も止め処ない涙を流す。




ごめん、そしてありがとう遠藤。




15年間も俺を待っていてくれて、本当にありがとう。

お前が俺にとってどんな存在だったか、俺、2011年の世界でよく分かったよ。

お前はずっと、こうして待ってくれていたんだよな。

ずっと居場所を作って待ってくれていたんだよな。


お前はずっと、俺の親友でいてくれたよな。


ありがとう、本当にありがとう。…ありがとう。
 

子供みたいに泣き出す遠藤と一緒に、俺も声を上げて泣いた。



体躯も歳も生きる時間も違う2011年の世界で、俺達はようやく仲直りできた、できたな。


―…なあ、遠藤。