嗚咽が漏れた。

なんで俺、消えろなんて言ったんだろう。

たかがグランドのことで、あそこまで怒る必要なんてなかったんだ。


馬鹿だ俺は。
こんなカタチでかけがえのない親友を失っちまうなんて。

失って初めて分かる、親友の存在に喉の奥が痙攣した。

誰よりも俺のことを知っていて、理解してくれて、好きな物を共有できた親友がいない。


消えちまった、本当に親友が消えちまった、消えちまったよ。
現実の無情が俺に重く圧し掛かった。
 

『うっぁ…ぁああっ』


坂本、お前何処にいるんだよ。


誘拐されちまったのか、生きてるのか、死んでるのか。

少しでもいいから連絡をくれよ。


高校になったら一緒に、大好きなアーティストのライブ、観に行くって約束しただろ。

CDだって新曲が出たら割り勘しなきゃいけないのに。
俺一人じゃ、小遣い足りないぞ。


お前とまだまだしたいこと、沢山あった。

これからじゃんかよ、なんでお前、此処にいないんだよ。



『っ…さかもと…、おれっ…』



怖いよ、俺。

お前が此処にいない、この現実が怖い。夢でもいい。

俺に会ってくれよ。
謝らせてくれよ。


仲直りさせてくれよ。


んでもって、またサッカーしよう。

誘うから、仲間に入れないなんて馬鹿なこと、もう言わないから。




『あぁああ…あぁあぁああ―――ーッ!』
 



溢れる後悔と涙は余計虚しさを呼ぶだけだった。