1ヶ月が経った。やっぱり坂本は見つからない。
ついにニュースの話題に上った。
テレビを点けると、情報の呼びかけが盛んに行われていた。
テレビに親友の名前が流れているってだけで、不安感に駆られたよ。
俺とお前の仲を知っていた担任や親には大丈夫としきりに慰められたけど、心はささくれるバッカだった。
学校にマスコミが登場するようになった。
執拗なインタビューに生徒達の不安感は煽られ、教師達の悩みは増えた。
なるべくマスコミは無視するよう指示された。
あまりにしつこい場合は先生達に言うように、それがSHRのお決まりの伝達になっていたほどマスコミはしつこかった。
お前が行方不明の間に、サッカーの主導権はとっくに平等に戻っていた。
公園でも自由にサッカーができるようになったわけだけど、俺はサッカーに打ち込むことができなかった。
しようとすると、どうしてもお前のことを思い出しちまって。
そういえば俺がお前と最後に交わした会話、なんだっけ。
思い出した俺は激しい自己嫌悪に襲われた。
お前と最後に交わした言葉は一方的な俺の怒り、『馬鹿死ね失せろ、消えろ』だった。
その言葉通り、お前は消えちまった。
大きなおおきな後悔が占めた。
あいつが見つかったら謝ろう、俺も言い過ぎた。
悔い改めた決心も、お前がいないとどうしようもない。
だから早く見つかることを祈った。
そして俺自身も、何かあればお前の行きそうな場所に赴いた。
もしかしたらひょっこり現れてくれるかもしれない。淡い期待を抱いていた。
同時期、俺は秋本をよく近所で見かけるようになった。
何をしているんだと声を掛ければ、『坂本がいるかもしれないと思って』彼女は俺と同じようにお前を捜していた。
早く見つかればいいよね、うんそうだな、そんな会話をしょっちゅうした覚えがある。お互いお前の生存を祈った。