『坂本が金曜から家に帰っていないそうだ。皆、知らないか?』
それは坂本が行方不明になったという報告だった。
愕然した俺は絶句した。
坂本が行方不明?
なんで、あいつが行方不明に。
もしかして事件に巻き込まれた?
警察が動いていると山口は教えてくれたけど、すぐに見つかるって励ましてもくれたけど、俺は信じられない気持ちでいっぱいになった。
動揺したままその日一日を過ごした俺は、お前の行きそうな場所を捜してみた。
警察が既に捜したであろう場所も、お前が気に入ってる場所も、全部回ってみた。
でもお前は見つからなかった。
大丈夫、すぐに見つかる。
しょうがないから、金曜のことは許してやろうかな。
なんか奢らせて許そう。
そう自分に言い聞かせて、俺はその日を終えた。
だけどお前は見つからない。
翌日、翌々日、一週間経っても見つからない。
クラスメートは事件に巻き込まれたんじゃないかって動揺していたし、警察も只事じゃないって本腰を入れた。
誘拐事件が一番の可能性として大きい。
そう警察が言ったもんだから、幾日学校は集団下校になった。
友達は口々に言った。
『大丈夫かな』『家出じゃないだろ』『やっぱり事件じゃ』と。
俺は不安になった。坂本の身の上に何かあったんじゃ、誘拐されてどっかで殺されてたり…、ああ、そんなことにだけは絶対になって欲しくない。お前の無事を祈った。