調子に乗って後で1996年以降の新曲も聴かせて欲しいと両手を合わせる。


不本意ながらも折角未来に来たんだ。

少しはこういった楽しみがあってもいいと思う。


振り回されるだけの未来なんて疲れるだけだしな。


「んー」考える素振りを見せる遠藤は横目でこっちを見てきた。


で、ニッと笑みを浮かべる。OKという意味だ。


「マジサンキュ!」愛してやってもいいんだぜ、投げキッスをおくってやると、

「さぶいことはやめろって」ご丁寧に突っ返してくれた。
 


「うわ、ひっでーの。俺の気持ちを簡単に返しちまうなんて。泣くぞ」

「泣け泣け。一向に構わねぇよ。あ、胸は貸してやんねぇから」



馬鹿馬鹿しい会話に揃って笑声を上げる。


年齢の壁を越えた、久々のやり取り。

本当の意味でやっと空気が砕けた瞬間、それは15年前の俺達に戻った瞬間でもあった。