ーーそれは、生まれて初めてのことだった。 「キミ、これはなんだ」 黒宮 菫(くろみや すみれ)は本を読むことが何より好きな読書喫茶の奉公人。 小説売り場を任されるほど、本の知識にも自信があった。 だから、その言葉を聞いた瞬間――自分は何か間違えたのだと思った。 けれど。 「彼女は私の婚約者だ」 これは、未だ差別が絶えない『鬼の血』を受け継いだ菫が、特殊な異能を持った文豪軍神ーー高槻 司(たかつき つかさ)と偽りで結んだ愛から、本当の幸せを掴む物語ーー。