母の出張ノートには、食べなかったものばかり書いてある

ヒューマンドラマ

母の出張ノートには、食べなかったものばかり書いてある
作品番号
1788638
最終更新
2026/08/04
総文字数
19,137
ページ数
5ページ
ステータス
完結
いいね数
2
六十二歳の佐和子は、二十年ぶりの宿泊出張で、亡き母の古い手帳を見つけます。そこに記されていたのは、各地で食べた料理ではなく、「一人では店に入れなかった」「家族に悪い気がして諦めた」という、母が食べられなかったものばかりでした。

母が入れなかった小料理屋を訪れた佐和子は、初めて自分のためだけに料理を選びます。その一食が、仕事でも家庭でも自分を後回しにしてきた彼女の心を、静かに変えていきます。

誰かのために食事を作り、誰かの好みに合わせてきた女性が、「私はこれを食べたい」と言えるようになるまでの物語です。湯気の向こうに残された母の人生と、定年を前に始まる娘の新しい時間を描きました。
あらすじ
六十二歳の佐和子は、地方工場への出張で亡き母の手帳を見つける。そこには、母が各地で「食べたかったのに諦めた料理」が記されていた。母が入れなかった小料理屋を訪れた夜、佐和子は自分も人生で望みを口にせず生きてきたと気づく。一人の食事が、翌日の仕事とこれからの人生を変えていく。

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